【7/10防災講演会】 スマート防災で災害から地域を守る準備と行動
昭島市自治会連合会として、例年実施しています自治会長研修会を28年度は3年ぶりに防災の研修会を実施しました。今回は、自治会の役員と市内のマンション管理組合の役員にも参加していただきました。
7月10日(日)10時から、フォレストイン昭和館にて、講師にはテレビでおなじみの山村武彦氏(防災システム研究所所長)に、「スマート防災で災害から地域を守る準備と行動」をテーマで、集合住宅の建設が続く昭島市として、自分たちのまちは自分たちで守る!意味で、自治会長の立場、管理組合の理事長の立場で地域を守るための、準備の方法と行動の重要性を学びました。
事業委員会副委員長の田中近江さん(第13ブロック長)の司会進行で始めました。
始めに、主催者を代表しまして、宮田次朗自治会連合会会長の挨拶の後、山村先生に下記の講演内容を中心に、講演をしていただきました。
1、平成28年熊本地震
(1)熊本で何が起きたか
① 過去に類を見ない連続(連鎖・誘発)大地震と群発余震
② 3日間に震度6弱以上の地震が7回(うち6回は夜間か未明)
③ 数千台の車中泊、約20万人の避難者
(2)連続地震で物流混乱(少なかった地域と家庭の備蓄)
(3)活断層があることは知っていたが、まさか本当に動くとは・・・
(4)建築基準法の死角
① 地域別地震係数という耐震地域格差
② 連続(連鎖・誘発)大地震による、異なる周期の波状的揺れには未対応
③ 新耐震基準後の建物が多数倒壊
④ マンションなども多数倒壊
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2、熊本地震16項目の教訓(地域における防災・危機管理)
(1)これまでは想定外であったことが、次は想定外とは言えない
~~~熊本地震・16項目の主な教訓~~~
① 連続(誘発)大地震(夜が怖い、不安・恐怖で室内避難拒否)
② 今回想定外も、次回は想定外ではない(車中泊避難所の整備必須)
③ 災害は休日夜間を問わない(夜間の避難訓練、対策本部訓練)
④ 非主要構造部の耐震点検強化(天井、照明、ドアの耐震診断・補強)
⑤ 耐震建物の倒壊(災害直後、施設簡易安全チェック体制)
⑥ 少なかった資器材備蓄(長期流通混乱想定・水食糧備蓄は7日分)
⑦ 大規模災害に備える地域防災の仕組づくり(互近助、防災隣組)
⑧ 情報パニック対策(受発信・情報トリアージ訓練)
⑨ 緊急物資(プッシュ型緊急ロジスティック、物資受入態勢、流通備蓄)
⑩ 広域自治体・事業所連携(受支援協定、広域避難計画)
⑪ 複数の避難所確保(域外複数避難所確保とバックアップオフィス)
⑫ 被害確認と応急支援要請(複数の緊急連絡システム)
⑬ 損壊に備えバックアップ施設と輸送手段確保(広域官民連携)
⑭ 迅速応急危険度判定(被災地派遣、職員育成、広域支援要請体制)
⑮ 要員の過労対策(マンパワー確保、強制休日・睡眠時間確保)
⑯ リスク想定・BCP・防災計画の見直し(新知見対応、バックフィット)
3、災害から命と地域を守る準備と行動
(1)2011年東日本大震災と1995年阪神・淡路大震災
① 非構造部・設備の耐震化急務
(2)これからはスマート防災(事後対応訓練→災害予防訓練)
① 「逃げる・守る防災」→「安全な場所に住む(する)防災」
② 避難訓練の前に→状況別安全行動訓練(持ち出すものは命だけ)
③ 閉じ込められた人を助ける訓練の前に→閉じ込められない訓練
④ 火を消す訓練の前に→火を出さない準備と訓練
⑤ 緊急地震速報や初期微動は「防災訓練開始」の合図、直ちに安全ゾーンへ
⑥ 持ち出すものは命だけ「命さえ助かれば、あとは何とかなる」
⑦ 避難所運営訓練の前に→1日インフラ停止で暮らす「在宅避難生活訓練」
4、熊本地震の成功事例「互近助で逆境に立ち向かった人たち」
(1)初めて見た「笑いの絶えない避難所」被災者全員がひとり一役以上
(2)震度7の地震、孤立状態も住民同士が助け合って乗り切った
(3)全住民の同意を得て作った「世帯名簿」なら持ち出せる
(4)キーマンたちの気配り・目配り・思い遣り
(5)新住民も気持ちよく暮らせる村は、人口が増え続ける村
以上、熊本地震の現地調査の生々しい話を通して、我々としての、災害に備え”命と地域を守る”ための準備と行動を学ぶことが出来ました。最後に、中島岩雄副会長から閉会の挨拶があり、11時45分に終了しました。